帰ってきた池田史子の参謀日記53
いま未来調達研究所でアシスタントというか、サポートというか、さまざまな仕事をしています。
私はさまざまな調査を国会図書館で行います。そのとき、坂口さんからは「これについて」と指示があるだけです。その情報の一部は原稿になったり、あるいは調査報告書になったりします。それにしても、「これについて」というだけの指示です。「何を調べたらいいんですか」と聞いても、「俺が面白いといいそうなやつ」と返ってきます。
たとえば「ガムについて」とあったとします。「ガムの経済記事」「ガムの売上推移」「ガムの生産数推移」などが思いつきます。しかし、こう思いつくようになるまで時間がかかりました。最初は、何を調べていいのかわからないまま右往左往しました。いまでは、きっと「ガムの歴史」なども追加で調べると思います。
ガムはずっと売上高を減らしています。さて、なぜでしょうか。もちろん、いろいろな理由があります。少子化、歯に悪い……。坂口さんは「都市の公共ゴミ箱が減少したためだ」と仮説をもっています。それがほんとうかはわかりません。でも、データを徹底的に見て、こうやって仮説をたてているようです。
それにしても困ったのは、大人の男性がご覧になるビデオについて調べてくれ、というものでした。ネットメディアの発展がビデオの生産数に影響を与えたか、という検証のためでした。しかし、女性が、その種類のビデオについて国会図書館で調べている、というのはけっこう異様な光景ではないでしょうか。ここでは書けないような名詞がいつから生じたのかも調べました。
「印刷はこれで間違いないでしょうか」と私に質問してくれた、印刷カウンターの女性は、あのとき何を考えていたのでしょうか。