調達部は商社を評価できるか(できればいいけど)
以前より私はサプライヤ評価の仕事を請け負っています。文字通り、サプライヤを評価する際の項目や、ウェイト付けなどを、調達の方々と話し合いながら作成していくコンサルティングです。評価結果を、中長期的な調達戦略まで結びつけるのが仕事です。
ところで、困ったのが、商社などが介在する場合です。例外を除くと、商社の評価方法について述べている書籍はありません。以前は「商社冬の時代」といわれていました。しかし、商社は廃れるどころか、むしろ存在感を増しています。これほどビジネスのサイクルが速くなってくると、自社で投資して事業を育てるのは難しくなっています。商社が世界中を飛び回って探すことに価値が出てきました。
そこで、商社を評価するため、いろいろと試行錯誤しています。完全ではありませんが、商社の役割は次を中心とします。もし自社で商社の評価項目を作成の方がいたら、ご参考になさってください。
1.情報機能
商社は、どこかの企業と、どこかの企業を橋渡しするのが使命です。したがって、通常の調達・購買部員が知ることのできないような「技術」「企業」を世界中から探し出し、調達側に提案する力が求められます。
2.危険負担機能
グローバル化が進むと同時に、リスクも多くなってきました。為替リスク負担で、調達側にメリットをもたらせば価値があります。また、世界中の企業について与信調査をするコストも時間もありませんから、その代行には価値があるでしょう。また、国によってはお金を払っても、商品受け渡しがスムーズではない場合もあります。さらに、調達企業が一定の支払い条件でしか売買できないとき、商社が柔軟な支払い方法によってサプライヤに対価を支払えれば、金融機能を有しているともいえます。
3.QCD担保機能
商社の顧客が多く存在すれば、商社の取扱量は多くなり、サプライヤから安い価格で提供してもらうことができます。その場合は、調達企業が一社で調達するよりも、安価になるでしょう。商社が平均で15%ほどの粗利益をとっていたとしても、それ以上のメリットがあればいいはずです。おなじく、商社の取扱量が多くなれば、納期や品質に関してもサプライヤへ影響力行使できるはずです。
上記を得点表に転換し、それを年に一度の評価につなげようという試みを実施しています。ただ、商社間で比較ができず、絶対値で評価しようとする際に尺度の設定が困難を極めます。
ただ、表が完成したら、この場でみなさまに公開しますのでお待ち下さい。
そういえば、私は学生のころ、大阪にいました。某有名商社の男性が(おそらく)顧客との飲み会の帰りに、1万円札を掲げて、道の真中に立ち、強引にタクシーを止めていた姿を見ました。「いつの時代やねん」と思い、同時に「この仕事はできないな」と思ったものです。しみじみ。あれは接待機能とでもいうべきものでしょうか。
(今回の文章は坂口孝則が担当しました)