突然ですが、お詫びがあります

ある方から素敵な話を聞きました。なんでも、「流れ星を見て願い事をいうと叶う」はほんとうだそうです。私は非科学的なことを、ほぼ信じません。しかし、その理由は「流れ星を見て、とっさに願い事をいえるなら、それは日ごろからずっと考えている証拠」だそうです。「そんなひとの願い事は勝手にかならず叶うに決まっている」と。

なるほど、と私は思いました。

会社の企画でもそうだと思います。また、そのひとのキャリアでもそうだと思います。その企画が世の中に存在する絶対的な理由などありません。また、そのひとが歩むべき道に、絶対的なものなどありません。しかし、「こうしたいんだ」という熱狂が物事を動かしたり、他者を動かしたりします。

私は、ふと思うのです。

20代の私はとにかくやりたいことに溢れていて、いろいろなひとに相談しました。無数の企画書を知り合いもいない会社に出したり、多くの会を立ち上げたりしました。23時に返事が届いたとき、「いまから相談に行っていいですか」とメールしたほどです(そのときは、「いや、明日以降にしてくれ」といわれましたが)。あのときの熱狂から、意外に変わらずにいます。

一時間の講演ギャラが50万円のかたにアポをとって突撃し、「あなたの話をみんなに聞かせたいんです」とタダで講演してもらったこともありました。

調達業務に私は携わっています。なぜ熱狂や熱意が必要か。繰り返し、私は非科学的なことは信じません。しかし、やはり熱狂や熱意は必要です。

たとえば、設計者や開発者に「こういうサプライヤがいい」といったとします。ベテランがいったら信じてもらえるかもしれません。でも、若手や中堅なら、なかなか言葉に重みもない。そのとき、言葉に力を与えるのが、熱狂や熱意です。情熱的な話し方を想像してほしいのですが、「ほんとうに、このサプライヤがいいんです。推薦したいんです」といったら、まったく印象が違います。

そして、コツは、それが皮相的ではなく、ほんとうに現実を良くしたいと考えている一点にあると私は思います。いや、なんだったら、自分が金持ちになりたい、でもいい。考え抜き、願望を発信できること。

流れ星を見た瞬間に、あるいは「君のやりたいことはなんだ」と訊かれたときに即答できるか。私は熱狂を抱き続けたいと願っています。

(今回の文章は坂口孝則が担当しました)

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