X月X日に大震災が起きます。調達は何ができますか
東日本大震災の傷跡はいまだに残っています。また、行政や民間に限らず、さまざまな反省点はあるでしょう。ただ、初動対応の早さは目立ちました。たとえば、国土交通省によると、道路啓開等の初期活動を、発災のなんとわずか4時間以内に、かなりの地元建設業が開始していました。
もちろん、彼らも被災者でした。被災の比率は7割にもいたりました。それでもなお、「自社・協力会社が地元の建設企業であり、地理に詳しい」「日頃から緊急時に備えた体制ができていた」ことから、その初動対応に参加したのです。感動的です。
いっぽうで、地方の建設業界は、公共事業の減少により、芳しい状態ではありません。かつて建設業のピークは1992年で84兆円もの規模があり就業者数は約620万人でした。その後、ゆるやかに減少を続け、東京オリンピック景気で多少は持ち直したとはいえ、建設投資は48.5兆円になり、就業者数も500万人となりました。
もっとも多い層が60歳以上で、このうち80万人をしめます。おそらく10年後には、大部分が引退しているでしょう。全産業のうち、建設業に新規学卒者が就業する比率を見ても、ピークの10%から現在では、8%に沈みます。もし、2011年ではなく、現在に東日本大震災が起きていたとしたら、初動対応等が遅れる、あるいは、実施できなかったのではないか、といわれています。
日本は有数の自然災害被害国家ですが、それだけではありません。社会インフラの老朽化がいっせいに進んでいます。日本の高度成長期は1960年代といわれます。そして、おおむねインフラの寿命は50年といわれています。ということは現在、インフラの老朽化で事故が多発している理由もわかります。
国土交通白書すらも、補修工事などの更新ができないと悲観的な未来を「予定」しています。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」といいますが、BCPはいまこそ重要なのです。単なるBCPから、実効性のあるBCPへ。
たとえば、「×月×日に大震災が起きる」とわかっていたとします。そのとき、自社のBCPは正しく機能するでしょうか。いまこそ、真の危機対応が求められています。
(今回の文章は坂口孝則が担当しました)