池田史子の参謀日記その8

坂口さんはたまに私をお客様との打ち合わせに同席させます。しかし、私にとっては苦痛でしかありません。とくに雑談です。坂口さんは、ほとんどなんでも答えます。ざっと直近の3例を思い出すと、お客様とそれぞれ「マルクス」「太陽黒点と温暖化」「ウルトラマン」でそれぞれ盛り上がっていました。

すると、坂口さんは、さも私がそれらを知っているかのように話をふるのです。しかも「彼女もいろいろ知っていますよ」と私を紹介するのです。私はほとんどわかりませんし、お客様から、その話題について私に質問がこないように祈っています。だからみなさん、私が無言だった場合は、私にふれないでください。

打ち合わせが本題に入ると、やっと苦痛から解放されます。そして、ほんとうに稀なのですが、そうして名刺を交換したお客様からお食事に誘われることがあります。私は結婚していますし、指輪もはめているので、おそらく私が既婚者だと知ってお誘いいただいているのだと思います。

それにしても驚くのは、独身のお客様から誘われるよりも、圧倒的に既婚者の方からお誘いいただくことです。

坂口さんに相談したら「行ってきたら」というだけですが、まだそれは実現していません。なぜなら、私は「マルクス」「太陽黒点と温暖化」「ウルトラマン」もわからないからです。アンパンマンなら……。そういう話ではありませんでした。

誤解を与えたかもしれませんが、独身の方からお誘いいただきたいわけではありません。できれば、そっとしていただければ幸いです。オチがなくて申し訳ありません。

※不安だった、参謀日記執筆も、回を重ねるごとに楽しくなってきました。

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