調達・購買担当者の自尊心について
「友達を失っても、また真の友を探せばいい。お金を失っても、また稼げば
いい。信用や信頼を失ってもなお、まだ一から出なおせばいい。ただ、自分
のことを信じられなくなったら、生きていくことはできない」とある方から
聞いて、衝撃を受けました。まだ、私が二十代のころです。
自分を信じる--か。当然のようですけれど、ときに失念してしまいます。
「ぼくにはできません」、「私には無理です」。そのような、自分にはでき
ない、という不思議な確信ばかりが多くの人を支配しています。自分にはで
きない、のではなく、自分にはできる、という信頼こそが重要ではないでし
ょうか。
私がいつも言う笑い話があります。「野球選手がエラーしないために、何を
すればいいか」。答え「試合に出ない」。しかし、これではほんとうの答え
にはなりませんよね。「何かをしない」とは、答えにならないのです。繰り
返しになりますが、自分を信じて試合に出続ける。それこそが、唯一の答え
です。
調達・購買担当者には、いつも難題が降りかかります。いっそうのこと、仕
事を投げ出したくなるほどです。いや、それはすべての職業人に共通かもし
れません。ただ、最後に助けてくれるのは他人ではなく、過去の実績でもな
く、自分だけだと私は思います。
自分を信じる--。凡庸で平凡な言葉だったかもしれません。ただし、一人
の方にだけであっても、心の支えになれば幸いです。