【第1回目】私の10代 アンダーグラウンド 音楽紀行

*大人の事情で某雑誌に掲載されなくなりましたので、ここに貼り付けますー(文責:坂口孝則)

ぼくは78年に佐賀県で生まれた。ものすごい田舎だ。ぼくはどうも、幼いころから読破癖があって、たとえば幼稚園のころに「ドラえもん」が好きで、近くの本屋に毎日かよって全冊を立ち読みした。なんという牧歌的な時代だっただろう。

・小学校から中学校まで

とくに音楽にあふれた環境ではなかったが、この癖がいろいろ作用している。小学生のころ、精霊流し(隣の長崎の風習)のときに、グレープというデュオの曲が流れてきて、それがきっかけで家にあったグレープの曲を全部きいた。まさかその30年後くらいに、歌っていたさだまさしさんとお会いするとは思っていなかった。

また、小学生4年くらいから、当時「What’s in」という雑誌があって、そこで紹介されていた、RCサクセション、サザンオールスターズ、ブルーハーツ、エレファントカシマシ、ユニコーンとかのCDを全部きいた。

当時は、レンタルビデオ屋があって、どれを借りようかと1時間くらい迷っていたら、店員さんから「全部かしてやるよ」といわれた。たぶん、そのお兄さんはバンドマンで、ぼくが大森隆志さんの「真夜中のギター・ボーイ」で悩んでいたから嬉しかったんだろう。

中学校に入ってからは、月に一回くらいアルバムを買っては繰り返した。このころ好きだったのは、HR/HM(今もだけど)だった。たぶん、友だちのお兄さんとか、そういう影響があったんだと思う。

このころは、FMっていうバンドや、TESLAといったバンドが好きでよく聞いた記憶がある。クイーンズライチもよかったし、あとは、プリティ・メイズなんかだったと思う。

あとはスコーピオンズ。イングヴェイとかよりも、ウリのほうがかっこいいなーと思っていた。

この流れでスラッシュメタルにも行き着く。メタリカ、スレイヤー、アンスラックス、そしてメガデス。よく「メタリカ、メガデス」派と、「スレイヤー、アンスラックス」派にわかれるけど、ぼくは「スレイヤー、メガデス」が良かった。やっぱり、「エンジェル・オブ・デス」と、「ラスト・イン・ピース」が最高と思うのは仕方がないのかもしれない。

・高校から

という、中学校までは、平凡な音楽趣味だったわけだが、高校のとき書店で面白い本を手にとった。正確には、一緒にいた友だちが買った。それが「EAT magazine」だった。

度肝を抜かれた。メタル雑誌なら「BURRN!」があったし、当時は買っていた(なお2020年でも買っている)。しかし、アンダーグラウンドシーンを正面から扱う雑誌は知らなかった。もちろん、都会にはいろいろあったのかもしれない。でも田舎の高校生には情報源などない。

そこで、もっと驚いたのは、私と友だちに、話しかけてきたKさん(男性)だった。Kさん二人組は、いきなり「家に来い」という。なんでも、この雑誌を卸しているらしい。初対面だぜ! いまなら絶対に行かないだろうが、あのころはなんでもできた、ということだろう。

高校生の二人組が、のこのこと、数分前まで知らなかった男性の自宅に向かうのだ(!)。なんという無謀。そこで、忘れもしないが、私たちは、Brutal TruthやS.O.B.、DOOM、SAVAGE GREED……などを聴いた。AxCxなんかもあったと思う。

もはやなんの曲だったかは忘れた。曲名ではなく、その圧倒的な衝撃だけを覚えている。

こんなのを高校一年生から聴いたら、まともな大人になるはずがない。実際、その頃に出会った人たちは、全員マトモになっていないのだ。

しかし、中学生のころスレイヤーが大好きで、高校でスレイヤーでつながった友だちと、本屋に出向いて拉致された経験のないひとに、あのころの狂騒と興奮を伝えるのは難しい。

そして、ぼくはさらに人生を変えることになる。

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