サプライヤ評価は社外に公開すべきか

最近、永遠の課題にぶつかっています。調達・購買はサプライヤ評価をすべきというのですが、その結果をどう公開して良いかどうもハッキリしないからです。もちろん、マニュアル的な言い方をすると、「サプライヤ評価結果を改善指導につなげましょう」で終わりです。しかし具体的には? どうサプライヤにこちらの評価結果を伝えるのでしょうか。そしてサプライヤの誰に伝えるのでしょうか。あるひとは「最終評点のみ」「サプライヤ社長のみ」といいます。あるひとは「詳細項目をすべて公開しなければ意味がない」「公開対象はサプライヤ全員」といいます。

前者は「評価自体が機密なのだし、しかもそれはトップが知っておけばいい」と説明します。いっぽうで後者は「詳細を伝えないから、評価が改善につながらないのだ」といいます。なるほど、たしかに両者ともそれなりの根拠はありそうです。

サプライヤに評価項目や評点を公開する=「オープン型」と、秘密のままにしたり最終結果だけを述べたりする=「クローズ型」にわけて考えてみましょう。そうすると、大きくメリットはこのように考えられます。

「オープン型」のメリット:どういう頑張りをし、どう成果をあげればよいのかわかるので、サプライヤとしては努力しやすい(数値を改善しやすい)
「クローズ型」のメリット:評価実務の定性的な箇所(と未熟な部分)が顕在化しにくく、かえって全面的な改善につながるケースもある

ただし、もちろんデメリットもあります……。

そのデメリットは次のようなものです。

「オープン型」のデメリット:実務では評価が定性的な箇所や曖昧な箇所(+評価者が未熟な箇所)があり、その点のみが目立って不信感につながる
「クローズ型」のデメリット:どういう頑張りや努力によって報われるのかわからないために、一部のサプライヤがバイヤー企業側に不満をいだく場合がある

なんだか、人事評価と一緒ですよね。人事評価ではオープン化が進んでいるといわれます。ほんとうでしょうか。多くの会社は公開とともに従業員からの不満を抱えているそうです(聞いた話ですが)。定量的に判断できるものばかりだったら、まだマシかもしれません。でも、サプライヤ評価項目で「技術的な先進性」などといった場合は、どうしても定性的になってしまいますよね。まさか年間出願特許数で評価するわけにもいかないですし、しかも、そんなもの評価してもどうしようもありませんし。

そこでどうしても、現時点でも曖昧さを残した答えを私は持っています。それは「評価項目はできるだけ定量的項目を中心とすること」「データだけで判断・評価できるようにすること」「結果はできるだけ最小限の関係者のみに公開する」「サプライヤの営業部長以上クラスと経営層に、かならず改善希望項目とともにお伝えする」「サプライヤ経営状態の悪化情報は、たとえそれがほんとうだったとしても、自社内には公開しない」。といったものです。

この領域はもっと論理・理論化して、役立つサプライヤ評価を創りあげる必要がありそうです。またご報告できる機会があるはずです。よろしくお願いします。

無料で最強の調達・購買教材を提供していますのでご覧ください

あわせて読みたい