50万円を3万円にする方法

一部のひとは知っているものの、私は20代前半のころ、世の中の成功者に話を聞きに行きました。「どうやってあなたは大成したのか」知りたかったのですね。ただ、当たり前かもしれませんけれど、「じゃあ教えてやろう」と時間を確保いただけるひとはいないだろうと思いました。そこで、私はどうしたかというと、「社会人なりたての若者がたくさんやってきます。ですので、彼らの前で、成功体験を話していただけませんか?」とご講演のお願いをしました。

講演の形で聞けば、私も参加できると思いました。なかには講演料金が50万円だったひともいます。「ただ、お金はありません。でも、あなたの話を聞きたいと強く願う若者に時間をいただけませんか? これはビジネスではなく、あなたの生き方を知りたいのです」と伝えました。または手紙でお願いしました。

すると、驚くほど多くの方がご登壇いただきました。もちろん、まったく謝礼をお支払いしなかったわけではありません。がんばって3万円を支払いました。でも、逆にいえば47万円引きです。通常よりも、大幅なディスカウントで、かつ、ご満足いただきながら話していただきました。

そこには、聴衆アンケートをものすごく工夫しました。登壇者がびっくりするほど嬉しいアンケートを取る方法です。が、ここでは趣旨ではありません。

よくもまあ、無謀で失礼なお願いをしたな、と思います。ただ、極端な話、1時間50万円で講演を受注なさっている方々は、別にお金がこれ以上、ほしいわけではないのですよ。それよりも、社会的使命がありそうであったら受けてくれるわけです。

私は、それなりに高いチャージで講演や研修をお引き受けしています。研修では、相当に高いはずです。しかし、と思います。私のもとに「あなたの話を聞きたい若手がたくさんいる!」といわれたらどうでしょうか。企業内研修や、あるいは、営利目的であれば、3万円ではお引き受けしないでしょう。とくに調達・購買関係のスキルとかノウハウの話しであれば、難しい。すでにお金を払ってくれている他のお客さんにも失礼です。ただ、調達・購買ズバリではなく、かつ運営が非営利活動や、純粋な勉強会だったら、受けるかもしれません。

実際、これまで一度だけ、あるお若い人(おそらく23歳くらいだと思います)から、「若い人間だけで勉強会をしますから、そこでお話していただけませんか。交通費だけしか出せません」といわれました。それは調達・購買プロフェッショナルとしての話ではなく、キャリア構築とか仕事への考え方とかの話だったので引き受けました(正確には交通費と飲み会代が出た気がします)。

会社という枠を離れて、そのような勉強会や講演会を主催している若者は、きわめて行動力があると断言できます。その過程で、きっと講演依頼先に叱られる場合もあるでしょうけれど、それが財産になります。前述の23歳のひととも、きっと違う形で再会すると私は確信しています。たとえば、彼も本を書いたとか、事業を開始したとか。

そう考えると、いくらでも人間はやれることがあるのですね。50万円を3万円にして、そして、学び活躍する方法があります。しかもいまでは多くのひとたちがメールアドレスを公開していますから、「話してください」「説明に行きます」とメールを出す勇気さえあれば良いことになります。

制約、という言葉があります。しかし、私にはそのほとんどが、自ら決めている制約と思えるのです。やろうとさえ思えば、人間にはいくらでも開かれた扉が用意されています。そして私も、最近とくに思っています。「次の私の挑戦はなんだろうか」と。徐々に形になりつつあります。近況報告できる段階になりましたらお知らせします。

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