笑う調達マネージャーがダメな理由

先日、某団体に招かれて京都で講演を実施しました。そのときに初めて話したコンテンツですが、なかなかウケが良かったので、ここでも書きます。調達・購買マネージャーにとっては面白い話かもしれません。私はずっと「どのような調達・購買担当者が優秀なのか」とか「どのような調達・購買マネージャーが優秀なのか」といった質問を受けてきました。しかし、優秀なひとは十人十色で、バラバラです。

私は購買担当者の集まりを主催していたものの、優秀なひとの個性はさまざまでした。明るいひともいれば、暗いひともいます。特定分野に詳しいひと、マネジメントスキルだけは抜群なひと。優秀さは多様なのでしょう。ところで、私は調達・購買のコンサルタントをはじめてから、多くの調達・購買マネージャーの方々とお会いしてきました。そこで、こういうひとが優秀だ、と定義はできなかったものの、こういうひとは失敗する、と傾向がわかりました。

実は、それは「表情」にあります。というのも、どうも成果が出ないマネージャーの方々は、失敗談を語ったあとに、なぜか「ニヤッ」と微笑(えみ)を見せるのです。なぜ、成果の出ない、あるいは失敗するマネージャーは、微笑(えみ)を漏らすのでしょうか。

誤解なさらないでください。あくまで、失敗談や自社の欠点を話し終わったあとに、微笑するのです。笑いながら、失敗談や自社の欠点を話すわけではありません。もしそうだったら、それは人格的破綻者でしょう。そうではなく、繰り返すと、話し終わったあとに「ニヤッ」と笑うのです。

私は最初、照れ隠しかな、と思いました。失敗談を外部の人間に話すのですから、恥ずかしいのか、と。しかし、優秀なひと、優れたマネージャーの場合は、失敗談や自社の欠点を話したあとも、キリリとなさっている。少なくとも笑わずに、凛々しく直視なさるのです。私は、この違いはなんだろう、と思いました。以下は、あくまで私の現時点での仮説です。

仮説というのは、次のようなものです。笑みとは、子供の武器です。子供は笑うことで、他者に「もう許して、もう責めないで」とサインを送ります。おそらく、笑ってしまうマネージャーは、どこか他者に責任を転嫁したいという気持ちを持っているのではないか。そう思うのです。たとえば、コスト削減がうまくいかなかったとき、設計・開発部門のせいにしたり、あるいは市況のせいにしたり。「すべての責任は自分にある」と自覚していないのではないか。それが、笑みに表出するのではないか。という仮説です。

かつて私は「笑うな馬鹿野郎」と怒られ、そのときは反発しました。しかし、思うに「笑わない」ことが襟を正すうえで重要なのかもしれません。体の行為が、そのうち精神にも影響を及ぼすのかもしれません。仮説でしたが、私の考えを書きました。

私は、ときに「話していると冷たい感じがする」といわれます。作り笑いでもしたほうが良いのかな、とも思いますが、あまり笑えないのは上記のような理由によります。ご参考になれば幸いです。

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