不正を犯す調達部員は、なぜこの特徴があるのか

先日、面白い話を聞きました。経理で会社のお金を使い込んでいた女性がいました。彼女がどのような方法でバレないようにしたでしょうか。答えは「休まずに働き続ける」でした。というのも二重帳簿をせっせと作っていたので、それを見られると困るからですね。だから彼女は現在、その経験を活かして、組織内の不正を見抜く仕事に携わっています。もちろんノウハウは、「休んでいない人間を探せ」です。

ところで現在、浮気調査の探偵は非常に多忙のようです。やましい気持ちをもつひとの行動パターンは似通っているようで、キョロキョロとまわりを見渡す特徴があるとのこと。普段なら探偵と目があっても問題ないところ、目があってしまうと尾行にならないため、探偵は対象者のクツを見ながら後を追うようです。

このように、人間はなんらか馬脚を現してしまうのですね。たとえば銀行強盗であってすらも、パターン化されているようで、論文もあります。ご興味のあるかたは「Neil Rickman」「Robert Witt」「Bank robbers」で検索してみてください。なお、午後に押し入るのはなぜなんでしょうね。午後は現金が出されてしまうので、午前のほうがよさそうですけれども。

そこで、調達人員の不正を見抜くに、なにが適しているでしょうか。たとえば年度末に近づくほど急にコスト削減額が積み上がってきたとします。しかし、それは年度目標を達成しようとがんばっているかもしれません。私が考えるに、「初回見積価格」と「決定調達価格」の差異ではないかと考えています。ほんらいであれば、「初回見積価格」と「決定調達価格」の差異は、ランダムに動くはずです。しかし、なぜか毎度のように乖離している場合は、意図的にコスト削減を演出していると思われます。

とくに初回見積価格との差をコスト削減額として計上している場合は注意が必要です。この場合、統計の検定をすれば怪しげな部員がわかります。ただ、そこまでやらなくても、数字を集計すればさまざまな事実が見えてくるでしょう。

タイで話を聞いたのですが、その会社では相見積を3社に依頼しているとして、負けた2社の価格がほんとうかを定期的に調べているようです。つまり、3社で競合して、1社が勝ち残ったように見えても、他の2社には「適当に出すように依頼している」とか「そもそも存在しない会社」といったケースがあるようです。なにより定期的なジョブローテーションはこういった不正をなくすのに一役買っています。

社員は不正をしない。その代わり、サービス残業もせず、正当なものは堂々と請求する。というのが私の考えです。なによりも自分の子供に見られても恥じない仕事をしたいものですね。

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