原価5000円を20億円で買う調達術

若い女性に人気のサイト「iemo」はなんとわずか9ヶ月しか運営していない状態だったにもかかわらず、その人気ぶりゆえにDeNAが買収します。その金額は20億円であり、「iemo」の創業者は短期間で大金を得ました。この創業者(女性)は、以前にもゲーム会社を売却しており、2億円の益を得ています。ここには、昔のパラダイムをはるかに超越した現実があります。サーバーの運営や維持費はせいぜい5000円とか、数万円。それが億単位に化けていきます。

調達・購買部門は、よく付加価値とか、対象物の価値、といいます。しかし、現在、ほとんど価値を査定できないような、もっといえば期待としかいえない「何か」に高値がついています。

ZipCarという有名な企業は、クルマと利用者を結びつけるサービスでナスダック上場まで果たしました。クルマを使いたい人が、使いたいときにだけ、時間単位で借りられるものです。さらに、Nextdoorという企業も、ご近所さんといらなくなった家具を共有するサービスですが、企業評価は10億ドルを超えました。

買収する先の企業を、いわゆるモノと仮定しましょう。そのとき、旧来的な分析手法では、もやは対象を査定できないのです。それはファイナンス手法を使えばいいとか、企業評価を徹底するとか、そういう次元の話ではないのです。新たな経済圏は、未来を示してくれるものに大金を提示するのです。

旧来の考えかたは、いわゆる決算書に載るものがすべてでした。だから、利益も資産も、損益計算書や貸借対照表を見れば、それですべてっだったのです。しかし、いつの時代も、ほんとうに重要なものは目に見えません。

江戸時代は米に課税しましたが、商売の利益には課税されませんでした。幕府はほんとうに価値あるものを知らなかったのです。時代が流れ、利益に課税されますが、人間関係とかノウハウといった、ほんとうに重要なものには課税されません。そして、いま、原価ではなく、未来価値として、対象物を査定すべき時代がやってきています。

いま私はコスト削減の講義も各地でおこなっていますが、もしかすると近い未来、原価・コストを見るのは古臭い手法になるのかもしれません。

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