[悪用厳禁]5分で交渉ネタを発見する方法
この文章は、圧倒的な結果を残す交渉ネタを見つけるためのものです。
私は、調達・購買業務において、交渉は基本的に不要と考えるべきだと語ったことがあります。交渉よりも、交渉しなくてもコストが安価になる仕組みを模索すべきだからです。とはいえ、いまだに業務で交渉は、日常的なものです。そこで、私がいつもオススメしているのは、「相手の規範」です。相手とはサプライヤでしょうから、「サプライヤの規範」と読み替えてもかまいません。
これは、要するに、サプライヤの信条です。サプライヤは「売上拡大」のみを目指しているのか、「お客へのサービスレベル拡大」を第一としているのか、「先端技術を安価に提供すること」を社是として掲げているのか……さまざまです。会社(サプライヤ)理念でもかまいませんし、営業方針でもかまいません。「相手の規範」を把握するのが、交渉では一番です。そして、その相手の行動が、その信条に反していれば強力な交渉ツールになります。
「相手の規範」は強力です。これは、意識しだすとクセになります。ちょっと話はそれるのですが、こんなことがありました。私は大阪で現場力強化のセミナーをやっています。5Sの話をしたときです。お一人のご参加者が「5Sなんて要らない。相手企業の現場の作業者がどうなっていたって、最終検査で不良品を落としてくれて、安価だったらいいじゃないか」とご意見を述べました。
これには、さまざまな反論が可能でしょう。しかし、私は「相手の規範」を常に意識していますので、「しかしそれは『取引先とともに工場現場を改善していく』『現場第一主義』の御社理念に反するのではないですか」と返しました。すると、その方は「いやあ……。そのとおりなんですよね……」と濁すだけでした。
この参加者は言葉に詰まりましたが、私もかなり酷い人間です。
これは論理的に考えれば、かなり飛躍があります。会社や組織の理念内容と、ミクロな問題が常時、合致しているかどうかはわかりません。でも、私たち社員は、大きな正義として、自分が属している会社・組織の理念を持ち出されると、なかなか正面切って反論できません。考えるに、私の手法は、かなりズルいものです。しかし、かなり強力だったと、ご理解いただけるでしょう。
交渉で、相手がこちらの意見をないがしろにしていたら、「御社は顧客と満足いくまで話しあう、と喧伝しているのに、いまの態度からはそれが感じられません」というべきです。それが、相手の交渉スタイルから、譲歩を引き出す方法です。
なにもこれは、相手を陥れる武器ではありません。しかし、理念でなくても、相手本人がかつて語った言葉などは強力な規範になりえます。クセになる、といいましたが、できれば日々、交渉相手となりうるひとや組織の規範を集めることをオススメします。それならば、実際に5分で可能でしょう。しかしながら、絶対的に強力で、あなたの交渉を進化させる考え方だ、と私は思います。