【必見】鬼の調達部隊を作ろう

私はかなりの読書家だと思いますが、古典を好みます。ビジネスの分野でも同じです。一般的にビジネス書は、古いと学ぶものがないと思われがちです。しかし、一倉定さんの著作などはいまだに輝きを保っています。自分の書籍も古典に分類されるくらい読み継がれたいものです。

ところで、古典の一冊にブラザーの方が書いた傑作「鬼の販売部隊」(日本経営出版会)があります。文字通り、鬼の販売部隊をつくってミシン日本一の売上を叩きだした鬼軍曹の物語です。ビジネス書となっていますが、なんというのでしょう、自伝というか一冊まるごと檄を飛ばすアジテーション本となっています。

それが凄いのですよ。「全員遅刻するな、欠勤するな、病気するな、愚痴言うな」から始まり、まさに鬼のような行動原則を次から次に紹介します。「部下の面前でその監督者を叱ることは、一般に戒められている。だが私は全く逆である。彼の部下全員を集合させ、その面前で赤裸々に注意し、完膚なきまでに叱る」とかね。凄いといったらそれまでですが、時代を感じます。

さすがにここに転記するのも気が引けるほど、女性社員とのやりとりが差別的で笑えます。著者は十代の女性たちを「恍惚の大XX集団」と述べています。おそらく、いまの時代だったらセクハラで一発アウトでしょう。XXは私が勝手にやった伏せ字ですから、ご興味のあるひとは書籍をお読みください。

こういう本を読んでつくづく思うのは、いまの常識も、つい最近に作られたことです。さきほど「鬼の販売部隊」を紹介しましたが、私は著者を尊敬しています。しかし、個人が気づかないレベルでやはり、文字の隅々に時代の無意識が潜んでいるのです。

さて、私は鬼の調達部隊を作るために、できるだけ普遍的な十戒を定めています。よく私の話を聞いていただけるひとは、何度か聞いたご記憶もあるでしょう。私は、この十戒が古びるのかどうか実験しています。みなさんの調達・購買部門の十戒があれば、ご参考に教えてください。

一 サプライヤーに「買ってやる」という態度をとってはいけません。
サプライヤーにはあなたに販売する義務はありません。

二 サプライヤーに社内事情ばかりを押しつけてはいけません。
サプライヤーは小間使いではなく、パートナーです。

三 「まったく安くないじゃないか」と怒ってはいけません。
それは安い見積りを提出してもらえないあなたの努力不足です。

四 売買の力関係が社外でも通じると思ってはいけません。
社外に一歩でれば、あなたはただの人です。

五 サプライヤーが利益団体であることを忘れてはいけません。
彼らは慈善団体ではなく、利益確保を目的としています。

六 買い手にも人格と品が必要であることを忘れてはいけません。
売買の基本は人間関係にあります。

七 サプライヤーをだましてはいけません。
中長期的に、かならずしっぺ返しがきます。

八 サプライヤーを呼びつけることを当然と思ってはいけません。
お願いをするのに呼びつける人のなんと多いことか。

九 依頼事項を果たしてほしければ、サプライヤーに報いなさい。
お願いばかりで、何も報いなければ、そのうち信用されなくなります。

十 ギブ・アンド・テイクを無視してはいけません。
サプライヤーから情報を聞き出すだけで、何も教えなければ、相手もそれ相当の対応となります。すべての成功の基本は相手に与えることです。

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