江戸時代とAIを学び調達業務に活かす方法
江戸時代、大坂(現在の大阪)で決まったコメの価格が全国に適用されました。現代の原油でいえば、WTI価格とかドバイ価格ってありますよね。あの市場で決まった価格をもとに世界で取引されます。同じように、大坂で決まった価格で、コメが全国で取引されていたのです。
そこで、全国の商人としては、大坂で決まった価格をただちに知る必要がありました。それが儲けにつながるからです。驚くのは、大坂から広島まで、当時、なんと40分で伝わっていたようです。方法は、山の上に手旗信号(!)で交信し、山から山、山から山へと伝えていたようです。なんと、大坂と京都のあいだは4分ほどで情報伝達していたようです(書籍『証券市場誕生!』)。
当時の手旗信号は最新のテクノロジーでした。いつも先端のテクノロジーは金融分野で使われます。儲かるからです。20世紀にラジオが発明されたとき、まっさきに活用したのは投資家たちでした。全米のなかで話題になっている企業をラジオで情報を集め、誰より先に投資する。インターネットも、グローバルな情報をかき集め、そしてヘッジファンドは莫大な富を得ました。
現代ではAIが流行語となっています。もちろんAIは魔法の杖ではありません。それは書いたとおりです。しかし、これだけ話題になっているテクノロジーを活用しないのはもったいない。少なくとも、どういうことができるかは知っておいたほうがいい。可能なら、実際に試行錯誤する価値があります。
具体的な方法をふまえてレポート化しています。
たとえば、応用で、このようなことが可能でしょう。
・調達品の価格査定
・取引先の評価
・品質評価
・部員評価
・市況価格予想
さらに面白いことを聞きました。先日、AI関連企業のトップと意見交換したのですが、「社員の離職率」を高精度で予測できるといいます。たとえば、社歴とか、成績とかのデータを入れるわけです。そうすると、そのひとが1年以内に退職するかほぼ的中できてしまう。なんだか当たりすぎて、人権や倫理上の問題があり、なかなか公にできないようです。
ただ、たとえばサプライヤの労務管理や人員定着の一策として活用するのは面白いですよね。
テクノロジーを摂取し、とりあえずやってみる。そのやってみる、こそが、業務を変える一歩なのかもしれません。現在ではテクノロジーは安価で、パソコンを持っていれば、AIの機械学習は無料でツールがダウンロードできます。もうコストは言い訳にはなりません。
あとはみなさんのアイディアと熱意しだいです。
(今回の文章は坂口孝則が担当しました)