海外サプライヤと喧嘩しない方法(必見です)
このところ海外をまわっています。ここ2ヶ月は多忙だったものの、インドと、中国に行きました。また中国の実験都市も見てきました。そこでの気づきを忘れないうちに書いておきます。
1.私はアップル商品を愛用しています。彼らは、鴻海などのEMSを活用して商品を生産しています。驚くのが、意外なほど、アップルのエンジニアや調達担当者が現地に出張し、長期の滞在をしている点です。現場に張り付くのは、地味で時間もかかります。
しかし、アップルであっても、愚直な道を選択しています。たまに「中国からの輸入品は不良ばかりで」と嘆く調達担当者がいます。ただ、現場にどれくらい足を運んでいるのでしょうか。「頻繁に出張に行くと、その費用がかさんで、コストメリットが消えてしまいます」と嘆く声も聞こえます。そのような少量のケースでは、実際に、中国からの調達をやめたほうがいいと私は思います。
2.次に、各国の工場には、老板という存在のひとがいます。工場のトップです。やはり、この老板と直接の会話ができないと海外調達はうまくいきません。トップからの指示が伝わらなかったり、熱意が共有できなかったりするからです。
しかし、工場が大きく、その老板に会えない場合があります。そのときにどうするか。私の結論は、「あきらめて違うサプライヤを探す」です。会えない場合は、ビジネスや会社の規模感が違うためです。より小規模な取引先を探したほうが現実的です。身も蓋もない話ですが。
3.製品以外の追加費用について執拗に質問することです。たとえば、MOQという概念があります。これは最低発注数です。たとえばMOQが3000個だったとします。そのとき、あなたが3000個を発注します。しかし、取引先は、電子部品を4000個リールで買うかもしれません。では、その残り1000個はどうなるでしょうか。MOQが3000個だからと安心してはいけません。残りの部材分について、請求書を受け取ることになるかもしれません。
また、初回の見積書は、償却が終わったからと、意図的に低い価格になっているかもしれません。のちに、「追加試験費用」だとか「追加設備」だとか、いかなる手段を使っても、値上げしてくる可能性があります。
同時に「あれ、見積書のここがおかしいですよね」と指摘しても、なんだかんだ追加費用を請求されるケースがあります。どうすればいいでしょうか。私の結論は、「そういうひとたちだから、もう違うサプライヤを探す」です。
もちろん悪質なサプライヤはむしろ少数です。あとは、古臭い表現ですが、本音をさらけ出していって、協力を求めるしかありません。私たちが工場を選ぶのではなく、工場が私たちを選ぶのだ、というくらいの心持ちでいなければダメです。
また、少量(ということは日本の大半があてはまるわけですが)ならば、もう日本国内で調達したほうがマシです。「金持ち喧嘩せず」なる諺があります。しかし私はこのところ「調達担当者こそ時間も余裕もないのだから、無意味な喧嘩をしてはならない」と強く思うのです。