月給13万円のバイヤーと300万円のバイヤーの違い
先日、ベトナムとカンボジアに行ってきました。銀行に立ち寄ると定期預金金利が年率8%になっており驚愕したり、いっぽうで、物価がだいぶ高くなっていて驚いたりと、刺激的でした。しかし、目的は、人材面接のお手伝いでした。要するに実習生の選抜です。
真面目な現地の二十代が多く、胸が熱くなりました。日本で稼いで、技術を持って帰って、祖国を繁栄させる、という想い。なかなかいまの日本では聞くことができませんね。そこで「いくら稼ぎたいか」と訊くと、決まって「13万円です」と返ってきます。「週に?」「月です」といった会話を何回もしました。ベトナムでは平均月給が3万円くらいですから、4倍以上なのですね。
「3年の実習を経て、300万円ほど貯めたい」。これも判で押したような回答でした。「300万円あったら、田舎に家を建てて、そして事業をするから」だと。なぜか。そう周囲から聞いているからです。13万円を稼ぐ方法なら想像ができても、それ以上は、そもそも想像すらできないのです。たとえば、彼らに「50万円を稼ぐ方法」を質問したとしても、ほとんど回答できないはずです。そして、想像できないものは実現できません。
私は20年前にベトナムとカンボジアにいったのですが、現在のようにビルは多くなくまばらで、何もない原っぱでは若者がサッカーをしていました。そこから毎年5から7%ほどの経済成長を続けています。それでも、国民の意識はそれほど劇的に変わらない。それは脈々と受け継がれた「常識」があるからです。
と、現地で、そう考えました。しかし、それは日本でも同じではないでしょうか。きっと1000万円の稼ぎ方を想像できるひとはいます。しかし、1億円の稼ぎ方となると、とたんに想像すらもつかなくなる。「しょせん、調達部員だから」「どうせ、購買部員、生産部員だから」と発想を止めてしまうのです。
ところで、1億円を稼ごうと思ったら、毎月いくらか知っていますか。即答できなかったひとは、きっと道のりは遠いでしょう。答えは800万円です。20日で割ると40万円です。一日あたり40万円を稼ぎ続ければ1億円プレイヤーになれます。なお、月給300万円であれば、一日15万円ですね。これならいけそうでしょうか。その場合は、自給2万円ですから、バイトの20倍ほどですね。
私はこれまで、個人的に調達・購買部員の地位向上を目指してきました。しかし、実は、もっとも制約となるのは、社内の仕組みではなく、調達・購買部員自身の思い込みなのです。「調達・購買はこのていどの仕事だ」「私たちにたいしたことはできない」という証拠なき絶対的な確信。その確信がもっとも邪魔をします。
象が子供の頃から首輪をつけて、鉄柱に縛り付けておきます。そうすると、当然、鉄柱から離れることができません。大人になった象を、鉄柱ではなく、竹に縛り付けても、もう逃げ出そうとしないそうです。逃げ出せない、という先入観があるからです。
あなたは、同じく、竹ていどに縛り付けられていないでしょうか。